ジェイ・ステーション

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

【海外在住者の悩み】じいちゃん、それでもぼくはバングラデシュに行くよ

f:id:jstation:20160403024242p:plain人気記事

就職難?青年海外協力隊が帰国後に陥りやすい勘違い

結婚願望ZEROだった僕が結婚した理由

日本に一時帰国したら必ず食べたいものランキングTOP10

 

f:id:jstation:20160403024242p:plainおすすめ記事

初対面で聞かれる75のこと in バングラデシュ

一般的な「あるある」にならない一時帰国あるある5選

日本を飛び出し、混沌の国バングラデシュに恋をした男の話

 

その知らせを聞いたのは、青年海外協力隊としてバングラデシュにいた時だった。

「じいちゃんが倒れて入院した。あとどれくらいもつかわからない」

 

海外で生活する人は、日本に残している家族に起こる問題に対してどうやって向き合っていけばいいのか、頭を悩ませている人も多いと思う。

ぼくの気持ちを書くことで、同じ悩みを抱える人たちと心の葛藤を共有できたらいいな。

 

f:id:jstation:20160614012801j:plain

帰国する心構え

 

青年海外協力隊の任期は2年。

じいちゃんが倒れた知らせを聞いた時、まだ任期を半年以上残していた。

 

長年教員をしていたじいちゃん。

退職してからも地域の子どもたちに英語や絵、音楽を教えていたじいちゃん。

自分も高齢者なのに、高齢者を支える会の代表だったじいちゃん。

お前には負けないといつも英語の勉強をしていたじいちゃん。

運動するのが大好きなじいちゃん。

文字を書くのが大好きなじいちゃん。

畑仕事をするのが大好きなじいちゃん。

お酒を飲むのが大好きなじいちゃん。

 

なんでもできて、なんでも器用にこなして、努力もして、ぼくにとってじいちゃんはスーパーマン。

 

何かあってからでは遅い。いますぐにでもじいちゃんに会いに行きたい。

 

でもぼくは帰国する決心ができなかった。

自分の夢を、バングラデシュでやっていることを優先した。

じいちゃんに何かあったら帰国しよう。

 

何かあったらでは遅いのに・・・

矛盾している自分に腹が立つ。

 

それでもぼくはバングラデシュに残ることを決めた。

 

ぼくが海外好きになったのはじいちゃんのせいだ

 


3歳の時初めて外国人に触れたときから、ぼくは海外一直線で人生を歩んできた。

そのきっかけをくれたのはじいちゃんで、じいちゃんが夏休みと冬休みに毎年まいとし留学生を受け入れていた。

 

自分の知らない世界で生まれた人たち。

彼ら彼女たちと接するたびに、海外への憧れが増していった。

 

海外で生活するってどんな気持ちなんだろう。

言葉が通じない場所にいるってどんな感覚なんだろう。

 

「毎日一つでいいから英単語を覚えなさい」

じいちゃんは言った。

いつも分厚い辞書を片手に、英語を勉強していたじいちゃん。

何十年続けていたんだろう。

TOEICの点数でいうと、今でも80うん歳のじいちゃんにかなわないかもしれない。

 

「やっぱり海外に興味をもったか。いっぱい学んできなさい」

初めて海外に行くと言ったとき

アメリカにホームステイをしに行くと言ったとき

カナダに留学すると言ったとき

中国の訪問団に決まったことを知らせたとき

じいちゃんは、いつも後押ししてくれた。

 

でもじいちゃんは、この時まだ若かったのかもしれない。

 

バングラデシュに行くときは様子が違った

 

ぼくがバングラデシュに青年海外協力隊として行くことを伝えたときは、またかという顔をしながら、もういいんじゃない?という雰囲気の言葉がでてきた。

「そろそろ身を固めたら?」

ぼくもいい年齢に差し掛かっていた。

 

年々自分の衰えに気づいていたのかもしれない。

なんでも好きなことができた体が自由に動かない。

体調が思わしくないという状況が数年続いていたことは確かだった。

でも病院に行っても特別病気が見つかったわけではない。

 

2年間行ってくるね。

「健康だけは気を付けるんだよ。帰ってくるまでは元気でいるからね」

やっぱりじいちゃんは最後は後押ししてくれた。

 

ベッドに横になる別人のようなじいちゃん

f:id:jstation:20160614013450j:plain

                  じいちゃんが住む田舎の風景

 

ぼくは物心ついてから親戚の不幸に立ち会ったことがない。

だから身近な人が自分の前からいなくなってしまうということが実感としてない。

 

青年海外協力隊を終えて日本に帰った。

じいちゃんは入院はしているけれど、回復傾向にあると聞いたていた。

 

バングラデシュから無事帰ってきた事を知らせるために、じいちゃんが入院する病院へ向かった。

そこで目にしたじいちゃんはぼくが知っているじいちゃんとは別人のようだった。

 

やせ細って、骨が見えそうになるほどこけているじいちゃん

何もする気力が起きないじいちゃん

大好きな絵を書くことも、日課だった日記を書くこともできないじいちゃん

病院から10分のところにある家に帰ることもできないじいちゃん

自分の足でたつことも、寝返りをうつこともできないじいちゃん

 

ぼくはあまりにショックでどんな話をしていいかわからなかった。

人が衰えていくということを目の当たりにした。

 

家に帰るという目標

f:id:jstation:20160614013627j:plain

                  じいちゃんが描いた油絵

 

じいちゃんはきっと目標を失っていたんだと思う。

今まで出来ていたことが何もできない、そんな自分とどう向き合っていけばいいのかわからなかったんじゃないかと思う。

 

それでも脅威の回復力を見せているじいちゃんは、3時間という制限つきで何度か外出許可をもらえるまでになった。

入院してから1年経った頃だった。

最初は車椅子にのることも、状態を起こして体を起き上がらせていることも辛そうにしていたじいちゃんは、家に帰りたいはずなのに、行きたくないと言っていた。

 

でも何度か家に帰るたびに、やっぱり家が一番いい。

家族と一緒にいたい。

そして何よりも描きかけの絵を完成させたい、そんな思いが少しずつでてくるようになった。

 

でもぼくは再びバングラデシュに行くことが決まっていた。

 

じいちゃん、それでもぼくはバングラデシュに行くよ

 

日本帰国後、1か月後には再びバングラデシュに戻ることが決まっていたぼくは、すぐにじいちゃんに報告できないでいた。

2年ぶりに日本に帰った来た孫。

これからは少しは落ち着いてくれるだろうと思っていたはず。

つきっきりで介護するばあちゃんも、その気持ちは同じだった。

 

またバングラデシュに行ってくるね。次はいつまでになるかわからない。そんなこと言えるはずがなかった。

 

じいちゃんも、ばあちゃんも、初孫であるぼくに対して特別な想いを持っているのはわかっていた。

本当は結婚して近くに住んで公務員でもやってほしい。

そんな感情が節々に伝わってくる。

体じゅうの関節が痛くなってくるほどだ。

 

もう一度バングラデシュに行くことを伝えたのは、1週間を切っていた頃だろうか。

もう忘れてしまったが、ぎりぎりまで言うことができなかった。

 

「じいちゃん、またバングラデシュに行ってくるね」

「次来るときは、奥さん連れてきます」

そう、この時にはぼくは結婚することが決まっていた。

 

じいちゃんはぼくが結婚することをとても喜んでくれた。

でもバングラデシュに再びいくことには何も言わなかった。

もう諦めていたのだろうか。

 

家族が大好きで、家族が大切なぼくは、そばにいてほしいという家族の気持ちを無視してバングラデシュに住んでいる。

 

それで本当に家族のことを大切にしているの?

そんな批判を受けても返す言葉はない。

 

じいちゃんが倒れて1年半以上がたった。

いつ何が起こるかわからない状況から、外出許可がでるようになるまで回復した。それでも今でもいつ何が起こるかわからないと言われている。

完全に老衰状態。

手の施しようもないが、期限があるわけでもない。

 

じいちゃん、ぼくはあなたの影響を受けてバングラデシュにいるんです。

外国の人と触れ合う楽しさを教えてくれたじいちゃん。

そのじいちゃんが、本当は行かないでほしいと思っていたとしても、それでもぼくはバングラデシュに行きます。

 

ステーションまとめ

 

大切な人と自分のやりたいことを天秤にかけたとき、どちらかを選択しなければいけないときがある。

どちらを選択したとしても、そこに正解があるわけではなく、誰に何を言われても、自分で納得して進んでいくしかない。

 

もしかしたら正解なんかないんだ、と自分を肯定したいだけなのかもしれない。

ぼくは自分勝手で、家族が大切だとかっこいいことを言いながらやってることは違う。

そんな自分に嫌気がさすこともある。

 

でもねじいちゃん、ぼくはやっぱりじいちゃんが教えてくれた外国人と触れ合うことの楽しさと幸せから逃れられないんだ。

 

自分の人生を生きるということも、時に苦しいんだなと、じいちゃんが教えてくれた気がする・・・

 

 

海外生活をしているみなさんは、どのように家族と向き合っていますか?ぜひエピソードを教えてくださいね。

 

👈読者登録はこちらから

 

家族の記事はこちら


 

© 2016 ジェイ・ステーション